なぜ自作するのか(市販品ではダメ?)

市販のシェルター(コルクチューブ・ウェットシェルター・素焼きハウスなど)はもちろん優秀です。ただ、自作には自作にしかない利点があります。

自作の主なメリット
サイズを自分のカナヘビに合わせられる(市販はSサイズでも大きすぎることがある)
材料費が安い(ダイソーの粘土1個=110円)
壊れたら作り直せる。失敗のコストが低い
愛着が湧く(これは地味に大事)

特に「サイズ感」は大きいです。市販の小型シェルターでも、生まれて数ヶ月の幼体や小ぶりな成体には少し大きいことがあり、入口が広すぎて落ち着かないという個体も少なくありません。自作なら入口の幅も奥行きも、目の前のカナヘビに合わせて調整できます。

用意するもの

品目うちで使ったもの備考
粘土ダイソーの石粉粘土(乾かすと固まるタイプ)1袋110円。1個のシェルターなら半分も使わない
作業場所新聞紙やクッキングシートを敷いた机粘土は意外と粉が出る
少量(指を湿らせる用)表面をなめらかにするとき使用
道具基本は手のみ必要なら丸い棒や定規で内側を整える程度

型も焼成も塗装も不要です。「DIY」と聞くと身構えるかもしれませんが、子供の工作レベルの手間で十分作れます。

サイズの目安

うちで作ったシェルターは、全体で20cm × 10〜15cm × 高さ5〜10cmほど。成体のニホンカナヘビ(全長20〜25cm)が体を伸ばして中に入れて、向きを変えられる程度の広さです。ちなみにうちのは「底なし」のドーム/トンネル型で、床材の上にそのまま被せるように置いて使っています。底がないぶん内側が直接ヤシガラの感触になるので、カナヘビも落ち着きやすい印象です。

サイズを決めるときの考え方
・カナヘビが全身を隠せること
・中で向きを変えられること
・入口は体幅+1〜2cm程度(広すぎると落ち着かない)
・高さは背中が天井に少しかすめるくらい(高すぎると「隠れた感」が出ない)

カナヘビは「ぴったり身を潜める」感覚に安心感を覚えるようなので、大きすぎるシェルターより、ちょっと窮屈なくらいのほうが好まれる印象があります。

作り方の手順

1
粘土を取り出してこねる
袋から取り出した粘土を、ひび割れがなくなる程度に手でこねます。最初は少し固く感じますが、手の温度ですぐに柔らかくなります。1個分のシェルターには袋の半分程度あれば足ります。
2
かまぼこ型(ドーム/トンネル型)に成形する
うちのシェルターは底なしのかまぼこ型です。平らに伸ばしてから、両手で中央を持ち上げるように曲げてアーチを作ります。そのまま床材の上に置いて「かぶせる」タイプなので、底板は不要。床材の感触がそのまま中の地面になるので、カナヘビも落ち着きやすい印象です。
3
入口を決めて縁をならす
かまぼこの両端(または片端)がそのまま入口になります。指で軽く押し広げて、カナヘビの体幅+1〜2cmくらいの開口にしましょう。入口の縁はなめらかにしておくと、出入り時に体をこすって傷つける心配がありません。
4
天面に「お皿状のくぼみ」を一体成形する
ここがうちのシェルターの一番の特徴です。かまぼこの上面を指で少し押し込んで、浅いお皿状のくぼみを作ります。ここに水を少し張っておくと、蒸発しながらシェルター内の湿度を上げるウェットシェルター的な使い方ができます。ただし粘土製なので長時間の水張りは水漏れリスクあり(後述の注意点で詳しく)。お皿部分は厚めに成形して壁を立ち上げるのがコツです。
5
表面を整える
指先を少し湿らせて、表面をなでるとなめらかになります。逆に「ザラっとした自然な質感」を残したい場合はそのままでもOK。お皿のくぼみの内側は、できるだけなめらかに仕上げると水が染み込みにくくなります。
6
自然乾燥させる(約2日)
平らな場所に置いてそのまま2日ほど放置。途中で動かしたり持ち上げたりすると割れの原因になるので、置きっぱなしが鉄則です。完全に乾くと粘土特有の白っぽい色になり、軽く叩くとコツコツと固い音がします。
急いで乾かそうとしない
暖房やドライヤーで強制乾燥させると、表面と内部の乾き方の差で割れやすくなります。室温で2日待つのが結局いちばん確実です。

【実体験】3年使ってみての所感

3年間、自作シェルターをメインに使い続けてきました。割れたり崩れたりすることもなく、うちのカナヘビたちも普通に出入りしてくれています。

最初は「100均の粘土なんかで大丈夫かな」と思ってましたが、乾けばちゃんと固くなって、カナヘビの体重程度ではびくともしません。何より、目の前の個体に合わせて入口の幅を決められるのが想像以上に良かったです。市販品だと「ちょっと大きいな」「入口が広すぎるな」と感じることがあったのですが、自作ならそれがゼロ。

うちのは底なしのかまぼこ型+天面にお皿状のくぼみの一体型。そのまま床材の上にポンと被せて、上のお皿に水を少量張ればウェットシェルターも兼ねるつくりです。底板がないぶん中の地面は床材そのもので、カナヘビにとっては掘る/潜るのも自由。ここが気に入ってるポイントかもしれません。

正直に書くと、上のお皿から少し水漏れすることがあって、ここは悩みどころ。水を多めに入れた日は下の床材が湿っているのが気になるので、うちは水を2〜3分目までに抑える/水苔を薄く敷くなどで対応しています。焼成していない粘土製の宿命とも言えるので、割り切って付き合っています。

見た目もほんのり手作り感があって、ケージの中で悪目立ちもしません。
石粉粘土で自作したカナヘビ用シェルター
うちで使っている自作シェルター。ダイソーの石粉粘土を手で成形→自然乾燥2日。

使う上での注意点

上のお皿の水漏れに注意(ここが一番の悩みどころ)
石粉粘土は焼成していないため水を完全に止められず、お皿にたっぷり水を張ると少しずつ下に染みてシェルター内側や床材に滴ることがあります。うちでの対策は以下の通り:
・水は少量(お皿の2〜3分目程度)だけ入れる
・毎日交換して長時間張りっぱなしにしない
・滴った跡が床材に残っていないか定期的にチェック
お皿のくぼみを深くしすぎない/壁を厚めに成形するのも、水漏れ対策として効きます。
どうしても気になる場合は、お皿部分に薄く水苔を敷くと保水体として機能し、ダイレクトな水たまりを作らずに湿度を上げられます(うちではこの運用に落ち着く日もあります)。
水に長時間つけない(本体部分)
上のお皿以外の本体も、長時間水に浸かると徐々に柔らかくなる可能性があります。水入れをシェルター本体の真横に寄せすぎないようにして、水入れと本体が直接触れない位置に配置しましょう。
湿りやすい場所に置きっぱなしにしない
ケージ内の湿度が高い側に長く置くと、表面に汚れが溜まりやすくなります。気になったら一度ケージから出して、表面の汚れを乾いた布で軽く拭くだけでもだいぶ違います。
定期的なチェックは忘れずに
・入口の縁にひびが入っていないか
・内側や縁に汚れが付いていないか(底なし型なので下の床材も一緒に確認)
・カナヘビが体をこすって傷つけそうな出っぱりがないか
気になる点が出てきたら、無理に使い続けず作り直してOKです(材料費110円の強み)。

市販シェルターとの比較

項目自作(石粉粘土)市販コルクチューブ市販ウェットシェルター
価格◎ 約110円○ 300〜500円△ 1,000〜1,500円
サイズ調整◎ 自由△ 既製品サイズ△ 既製品サイズ
耐久性○ 通常使用なら十分◎ 高い◎ 高い
水濡れ耐性△ 長時間はNG(お皿は少量運用)◎ 強い◎ 強い(むしろ水を入れる)
湿度キープ機能○ 上部お皿で湿度アップ(水漏れに注意)×
見た目の自然さ○ 手作り感あり◎ ナチュラル
作る/買う手間△ 2日待つ◎ 買えば即◎ 買えば即

個人的な結論としては、「メインのシェルターは自作(上のお皿で湿度も兼ねる)」で回せています。どうしても脱皮不全が気になる個体が出たときだけ、市販のウェットシェルターを追加投入する——くらいのバランス感です。

よくある質問

石粉粘土はカナヘビに無害ですか?
乾燥後の石粉粘土は安全に使える素材です(粘土製品は子供の工作にも使われるもの)。ただし乾燥前の柔らかい状態のものをカナヘビが口にしないよう、必ず完全乾燥させてからケージに入れてください。塗料やニスは塗らないのが安心です。
乾燥に2日もかかるのは長くないですか?
急いで乾かすと割れやすくなるため、結果的に2日待つのがいちばん確実です。どうしても急ぐ場合は、薄めの形状にして表面積を稼ぐと多少は早く乾きます。ただし強制乾燥(ドライヤー・暖房直射)はおすすめしません。
作ったシェルターをカナヘビが使ってくれません
新しいものを警戒している可能性があります。数日間そのまま放置しておくと自分のニオイがついて使い始めることが多いです。それでも使わない場合は、入口が広すぎる/設置場所が明るすぎるなどの可能性も。クールスポット側の暗めの位置に置くと使ってもらいやすいです。
どのくらいで作り直していますか?
うちでは特に決まったタイミングはなく、ひびが入ったり汚れが目立ってきたら作り直すくらいです。3年で大きく作り直したのは数回程度で、思っていたよりもずっと長持ちしています。