先に言うと、ニシアフは1匹で問題ありません。仲間が要る生き物ではなく、むしろ1匹のほうが落ち着きます。そして2匹を同じケージに入れるのは、うまくいく組み合わせが限られていて、初めての人にはすすめません。この記事では、なぜそう言えるのか、うちのおはぎが1匹でどう暮らしているか、それでも2匹入れるなら何に気をつけるか、を書きます。
1. 「寂しい」は人間の側の感覚
ニシアフは、野生では1匹ずつで暮らすヤモリです。群れを作らず、決まった縄張りの中で、昼は岩の下や土の中に隠れ、夜に出てきて虫を食べます。仲間と並んで寝る習性も、遊び相手を求める習性もありません。
だから「昼間ずっと隠れている」のは、寂しいのではなく、それがこの生き物の普通の一日です。犬や猫の感覚で見ると「1匹きりでかわいそう」に見えますが、ニシアフの側からすると、静かで、暖かくて、隠れ家があって、餌が来る。それで足りています。
2. おはぎの1匹暮らし(4か月)
「寂しそう」と感じる場面があるとすれば、それは昼間に隠れているところを見たときだと思います。でもそれは夜行性の生き物の昼間です。夜の姿を見れば、1匹で十分に忙しくしているのが分かります。いつ姿を見られるかは、別の記事に書きました。
3. 2匹を同じケージに入れると何が起きるか
ここは一般論です。うちは1匹なので、実際に見たわけではなく、飼育者の間で広く知られていることを整理します。
| 組み合わせ | 何が起きやすいか | 結論 |
|---|---|---|
| オス+オス | 縄張りの争い。噛み合い、尻尾の欠け、けが | 絶対に不可 |
| オス+メス | 繁殖する。メスは望まないのに追い回され、産卵で体力を削られる。卵の世話と子の引き取り先が必要になる | 繁殖する覚悟がない限り不可 |
| メス+メス | うまくいくことも多いが、体格差があると小さいほうが隠れ家と餌を取れない。片方だけ痩せていく | 条件つきで可。ただし初心者向きではない |
| 大きさの違う2匹 | 性別に関係なく、小さいほうが弱る。極端な場合は尻尾や指をかじられる | 不可 |
もうひとつ、同居の一番の問題は「どちらが食べたか、どちらのフンか、分からなくなる」ことです。うちは1匹だから、便の色がおかしければおはぎのもの、食べ残しがあればおはぎが食べていない、と迷いなく分かります。2匹いると、片方の拒食に気づくのが遅れます。病気も、片方から片方にうつります。
「2匹いれば楽しい」の「楽しい」は人間の側で、ヤモリの側には「取り合い」と「見落とされる」しかない。それが、経験者が同居をすすめない理由です。
4. どうしても2匹飼うなら
答えは簡単で、ケージを2つにすることです。ケージが2つなら、上の表の問題は全部なくなります。ニシアフ1匹のケージは小さくて済むので、2つ並べるのは犬猫を2匹飼うより場所も手間もかかりません。
それでも1つのケージに入れるなら、飼育者の間で言われている最低条件はこれです。
- メス同士で、体の大きさがほぼ同じ。性別はお腹側で確認する(自信がなければ店で見てもらう)。
- ケージは1匹用の倍以上。幅60cm以上が目安。暖かい側と涼しい側を、2匹が別々に使える広さ。
- 隠れ家・水入れ・湿った隠れ家を、それぞれ2つずつ。取り合いを起こさない。
- 餌は別々に、目の前で渡す。どちらがいくつ食べたかを数える。
- 体重を2匹とも毎週量る。片方だけ減ったら、すぐ分ける。
- 新しい子は、最低1か月は別のケージで様子を見てから。病気や寄生虫を持ち込まないため。
これだけやって、それでもうまくいかないことがあります。分けるためのケージを最初から用意しておくのが、結局いちばん安全です。
5. うちの場合:別の生き物とは別のケージ、別の部屋
うちには、おはぎのほかにオカヤドカリがいます。ケージは別です。以前カナヘビを飼っていたときは、玄関の別の部屋に置いていました。カナヘビには昼間のライトが要るので、同じ棚に置くとおはぎの側が明るくなってしまう、というのが理由です。オカヤドカリのケージはおはぎのケージの横に並べていますが、中身が行き来することはありません。
種類の違う生き物を同じケージに入れないのは、性格の問題より前に、必要な温度・湿度・明るさが違うからです。カナヘビは昼行性で日光浴をする生き物、おはぎは夜行性で暗くて湿った隠れ家が要る生き物。同じ箱に入れると、どちらかが必ず我慢することになります。ライトの明るさが理由で部屋まで分けているのは、その延長です。
おはぎにとっての「相手」は、いまのところ、夜に扉を開けてコオロギを持ってくる人間です。それで足りているように見えます。
正直に書くと、おはぎはオスで、いつか女の子を迎えたい気持ちは私にもあります。ただそれは「おはぎが寂しいから」ではなく「自分がもう1匹見たいから」で、迎えるならケージはもう1つ買います。同じケージに入れれば繁殖の話になり、卵と子ヤモリの引き取り先まで考える別の覚悟が要ります。今はまだ、そこまでの準備がありません。
よくある質問
Q. ずっと隠れているのは、寂しいからでは?
A. 違います。夜行性の生き物の昼間の姿です。夜に出てきて食べて動いていれば、それが元気な印です。昼間に何度も出てくるほうが、むしろ温度や隠れ家に問題がある合図です。
Q. ペットショップでは何匹も一緒にいたけど?
A. 店は短期間の展示で、毎日プロが見ています。家で何年も一緒にするのとは別の話です。ちなみにうちのおはぎは、店でも1匹でケージに入っていました。
Q. レオパ(ヒョウモントカゲモドキ)と一緒に飼える?
A. すすめません。見た目は似ていますが、レオパは乾いた環境、ニシアフは湿った環境を好みます。湿度の好みが合わないので、どちらかが体調を崩します。別のケージで。
Q. 2匹目を迎えたら、最初にやることは?
A. 別のケージで最低1か月、隔離して様子を見ることです。体重・便・食欲が安定しているのを確かめてから。これは同居するしないに関わらず、うちも1匹目のときにやりました(お迎え1週間の記事に書きました)。
Q. おはぎに、いつか相手を迎える予定は?
A. 気持ちはあります。おはぎはオスなので、いつか女の子を、とは思っています。ただ今は1匹で健康で、こちらも1匹分の世話でちょうどよく回っています。迎えるとしてもケージは別で、一緒にするなら繁殖の覚悟とセットです。