先に言うと、うちはパネルヒーター(床の下に敷くマット型のヒーター)1枚だけです。ランプなし、上からのヒーターなし。それで5月から9月まで、脱皮も体重も便も問題なく来ています。ただし正直に書くと、うちはまだ冬を経験していません。「マット1枚で一年中いける」とは言えない段階です。この記事では、うちの構成と、マットだけの弱点と、冬にどうするつもりかを書きます。

🛒 うちの保温まわり(これで全部)
  • 【使用中】パネルヒーター「ピタリ適温プラス 2号」(22×22cm・薄いフィルム型)。光は出ず、床だけを温める道具
  • 【使用中】アナログの温湿度計(ケージの壁に貼るタイプ)
  • 【不使用】ヒートランプ、セラミックヒーター、上から温める器具、サーモスタット
  • 【冬に検討】上から温める暗いヒーター(「暖突」という製品が定番)
🗾 先に、うちの条件。この記事の「マット1枚で足りた」は、この条件での話です。
・夏(6〜9月):部屋は何もしなくても30℃を超え、湿度は80%に届く。エアコンで室温25℃前後に保っている。ヒーターより暑さのほうが問題。
・春・秋:室温はだいたい20〜25℃。マットで床を温めれば空気は足りる。
・冬(12〜2月):暖房を切った夜の室温は10℃台まで下がる家が多い。うちはまだこの季節を経験していない。
冬も暖房で室温が18〜21℃に保たれている部屋なら、条件はもっとやさしいはずです。逆に、暖房のない部屋や廊下にケージを置くなら、うちの夏〜秋の話はそのまま当てはまりません。マットだけで足りるかは、道具ではなく部屋の温度で決まります。

1. マットとランプ、何が違うのか

どちらも「温める道具」ですが、温める相手が違います。

パネルヒーター(床下)ランプ・上からのヒーター
温めるもの床。お腹から温まる空気と、光が当たる面
光出ないランプは出る(セラミック型は出ない)
空気の温度ほとんど上がらない上がる
湿度あまり変わらない下がりやすい(空気を乾かす)
向いている場面室温がそこそこある部屋。消化のための「お腹の温め」室温が低い部屋。ケージ全体を底上げしたいとき

ニシアフは夜行性で、野生では日中は岩の下や土の中にいます。太陽の下でバスキングする生き物ではなく、日光で温まった地面の熱をお腹で受けるタイプです。だから「床を温める」道具のほうが、生き物の側の都合に合っています。ランプは、部屋が寒すぎてケージ全体が冷えるときの「足し」と考えるのが、うちの理解です。

2. うちの構成:どこに、どう敷いているか

ケージの下に差し込まれた薄いパネルヒーター。Pitariのロゴが見える
熱源はこれだけ。ケージの下に差し込んだ薄いパネルヒーター。厚さは数ミリで、光は出ません
🦎 おはぎのケージの保温
1
ケージの外、底面の下に差し込む
ケージの中には入れません。幅30cmのケージに22cm角のマットなので、床のだいたい半分に当たります。残り半分は温まらない側です。
2
温める側に、湿ったシェルターを置く
教科書は「湿ったシェルターは涼しい側」と言うことが多いですが、うちは逆です。室温は夏以外30℃に届かないので、一日のほとんどを過ごすシェルターの中を暖めておくほうが落ち着く、と判断しました。
3
温湿度計はヒーター側の壁に1つ
夏の日中でだいたい30℃の少し手前、湿度60〜70%。この数字はヒーター側の値で、反対側はもう少し低いはずです(そちらは測っていません)。
4
サーモスタットは使っていません
床の半分だけを温めて逃げ場を作り、温湿度計を見る、という運用です。これは「うちはこうしている」であって、おすすめではありません(理由は4章)。
ケージ壁の温湿度計。30℃付近を指している
夏のある日の温湿度計。温度は30℃の少し手前、湿度は70%あたり。ヒーター側の壁に貼ってあります

この配置で、おはぎの一日はこうなります。ちょうどいい日はシェルターの中で寝る。暑い日はシェルターから出て、温まらない側の床で伸びる。それでも暑い日はシェルターの上の水皿に乗る。暖かい側と涼しい側があれば、あとは本人が選びます。マットを床の全面に敷くと、この「選ぶ」ができなくなるので、半分だけ、が大事です。

シェルター上部の水皿に体を乗せるおはぎ
暑い日は、温める側に置いたシェルターの上の水皿に自分で乗る。逃げ場があれば、こちらが細かく調節しなくても本人が動く

3. なぜランプを使わないのか

  • 夜行性で、強い光がストレスになる。ニシアフは昼間は隠れて過ごします。明るいランプは、隠れ家の外を「出たくない場所」にしてしまいます。
  • 空気を乾かす。ニシアフは湿度60〜70%を好みます。上から温めると湿度が落ちやすく、脱皮に響きます。うちは霧吹きと陶器のシェルターで湿度を作っているので、それを打ち消す道具は入れたくありません。
  • ケージが小さい。幅30cmのケージにランプを付けると、涼しい側が残りません。ランプは広いケージで初めて「勾配」を作れる道具だと思っています。
  • うちでは、夏以外に空気を温める必要が少なかった。5〜9月は、室温だけで空気は足りていました。これは住んでいる場所の話で、次の章に続きます。
💬 先に断っておくと、海外の飼育者の間では、うちのやり方は少数派かもしれません。近年の海外のガイドや掲示板では「ヤモリは上から日光で温まる生き物だから、ランプや上からのヒーターが自然。マットは補助」という考え方が広まっています。それはそれで筋が通っています。うちがマットだけなのは、ケージが小さいこと、部屋が暖かい季節だったこと、湿度を守りたいことの3つが重なったからで、「マットが正解」と言いたいわけではありません。条件が違えば、答えも違います。

なお、UVBライトは温める道具ではなく別の話です。ニシアフに要るかどうかは、別の記事に書きました。

4. マットだけの弱点(ここは隠さない)

「マット1枚で回っている」と書きましたが、それは5月から9月の、室温が25℃前後ある部屋での話です。条件が変わると、マットだけでは足りなくなります。

弱点何が起きるかうちの場合
空気を温めない室温が低い部屋では、床は暖かいのに空気が冷たい。夜に室温が20℃を下回る家だと、マットだけでは全体が冷える夏〜秋はこの問題が出ていない。冬は分からない(6章)
温める範囲が狭いマットの上だけが暖かい。ケージが大きいと、暖かい場所が「点」になる幅30cmなので今は問題なし。引っ越したら考え直す
上がりすぎることがある製品と環境によっては床面が40℃を超える。ガラス底、厚い床材、密閉度の高いケージで起きやすい。低温やけどは見た目で分かりにくいうちはサーモスタットなし。半分敷きで逃げ場を作り、温湿度計で見ている。安全策としてはサーモスタットを付けるほうが正しいと思っています
床材が厚いと熱が届かないソイルを厚く敷くと、表面がぬるくなるソイルは2〜3cm。この厚さで表面は温まっている
💡 判断の材料は、ケージの涼しい側に置いた温度計の数字です。そこが夜に20℃を切るなら、マットだけでは足りていません。暖房が入っている部屋なら、マット1枚で足りることが多い。冬に室温が15℃まで下がる部屋なら、上から温める道具を足す必要があります。

5. うちの失敗:感覚でオン・オフ

🦎 「今日は暖かいから切ろう」で、便がゆるくなった

お迎えして間もない頃、パネルヒーターを「今日は暖かいから」「今日は暑いから」と、自分の体感でオン・オフしていました。切っていた時期に、おはぎの食いつきがはっきり落ち、便がゆるくなりました。温度計を見ると、床は思っていたより低かった。人間が感じる部屋の温度と、床の温度は別物でした。

ヒーターを戻したら、食欲も便もすぐ元に戻りました。以来、ヒーターは基本つけたままにして、切るのは「温度計が高い」「天気予報が暑い」と先に分かった日だけにしています。行動を見てから慌てるのではなく、数字を先に見る、という順番です。

マットだけの構成は、道具が1つしかないぶん、その1つを人間の気分で操作すると、すぐ影響が出ます。「マットかランプか」より、「ついているか、切っていないか」のほうが、実際の失敗としてはずっと多いと思います。

6. 冬はどうするつもりか

ここは正直に「まだ分からない」です。うちのおはぎは5月にやって来たので、まだ冬を越していません。冬は室温が10℃台まで下がる部屋も多く、マット1枚では空気が足りない可能性が高いと思っています。

今の予定は、パネルヒーターはそのままに、上から温める暗いヒーターを足すことです。「暖突」という、ケージの天井に付ける光の出ない製品が定番です。光の出ないセラミックヒーターも同じ役目です。どちらにしても、上から温める道具は空気を乾かすので、湿度計を見ながら霧吹きを増やすつもりです。

導入したら、導入前後の温度の変化を測って、この記事に追記します。「マット1枚で冬を越せた」か「足さないと無理だった」か、どちらの結果になっても書きます。

ケージ全景。ソイル床、水色のウェットシェルター、黄色の水入れ
今のケージ。上から温める器具はまだ何もない。冬の前にここに1つ足す予定

よくある質問

Q. パネルヒーターは夜も消さないの?

A. 消しません。ニシアフは夜に動いて食べるので、消化のための暖かい床は夜こそ要ります。うちは夏の間ずっと、室温が高い日以外はつけっぱなしです。ただし夏の夜の床温度は測ったことがなく、そこは正直に「分からない」です。

Q. サーモスタットなしで本当に大丈夫?

A. うちは4か月問題が出ていませんが、それは「たまたま条件が合っていた」可能性があります。床の半分だけに敷く、床材を薄くしすぎない、温度計を見る、の3つで逃げ場を作っていますが、これから始める人には、サーモスタットを付けることをすすめます。数千円で、上がりすぎを機械が止めてくれます。

Q. ヒートロック(温まる岩)は?

A. うちは使っていませんし、使う予定もありません。岩そのものが熱くなる道具で、乗ったまま動かないと低温やけどになりやすい、と一般に言われています。床下のマットのほうが、逃げ場を作りやすいです。

Q. マットはケージの中と外、どっち?

A. 外(底面の下)です。中に入れると、ヤモリが直接触れて熱くなりすぎることがあり、水や尿もかかります。うちの薄いフィルム型は、ケージの下に差し込むだけで設置は数秒でした。

Q. ランプを使っている人は間違い?

A. 間違いではありません。室温が低い家や、大きいケージでは、ランプや上からのヒーターがないと全体が冷えます。「どちらが正しい」ではなく、「部屋の温度とケージの大きさで決まる」が答えです。うちは小さいケージと暖かい季節だったから、マットで足りていただけです。